CASE 01 — DATA × VISUAL / 2026

BIWAKO SILENCE

見えなかった
琵琶湖が、
形になった。

The lake has always had a shape. No one had seen it yet.

琵琶湖の静けさをデータに変換し、
9枚のビジュアルシリーズとして設計した。
言語化できない体験を、視覚に翻訳する試み。

FIELD Lake Biwa, Shiga
DEPTH 104m
SERIES 9 Works
YEAR 2025–2026

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OVERVIEW — 問いと概要

琵琶湖の静けさを、
どう届けるか。

琵琶湖には深さ104mがある。水温の層があり、音速の変化があり、渡り鳥の飛来経路がある。しかし誰もその「形」を見たことがなかった。湖は「感じるもの」であり、「見るもの」ではなかった。

このプロジェクトは、その問いから始まった。データという客観的な事実を通じて、湖が持つ静けさと豊かさを視覚体験へと翻訳することはできるか。

水温・透明度・音速・流入河川・渡り鳥の飛来データ——それぞれのデータが持つ美しさを、グラフィックの言語で再構成した。9枚のシリーズは、琵琶湖への9つの問いかけである。

PROCESS — 翻訳の過程

INPUT — 原文

言語化できない
琵琶湖の体験

  • 深さ104mの静寂
  • 水温・透明度データ
  • 音速の垂直分布
  • 流入河川のネットワーク
  • 渡り鳥の移動経路
  • フィールドレコーディング

TRANSLATE — 翻訳

解釈と
視覚化の設計

  • データの意味の解釈
  • グラフィック言語の選択
  • 余白と線の設計
  • 漢字タイトルの設計
  • 統一フォーマットの構築

OUTPUT — 訳文

感じられる
琵琶湖の形

  • 9枚のデータビジュアル
  • 統一された美学
  • Instagramシリーズ
  • 体験設計の記録

SERIES — 9枚の翻訳

それぞれのデータが持つ構造を、グラフィックの言語で再構成した。細線・余白・漢字という一貫した美学の中で、9つの異なる琵琶湖の顔が現れる。

木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:BIWAKO SILENCE
00BIWAKO SILENCETITLE WORK
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:琵琶湖の断面
01琵琶湖の断面CROSS SECTION
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:透明度
02透 明 度LIGHT PENETRATION
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:水温層
03水 温 層THERMAL LAYER
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:音速
04音   速SPEED OF SOUND
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:流入河川
05流 入 河 川RIVER INFLOW
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:波紋
06波   紋RIPPLE
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:渡り鳥
07渡 り 鳥BIRD MIGRATION
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:周波数
08周 波 数SOUND FREQUENCY

DETAIL — 各作品の解説

木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:琵琶湖の断面

01 / 09

琵琶湖の断面

CROSS SECTION

湖面の穏やかさの下に、
どれほどの深さがあるか。

琵琶湖の縦断面を地形データから再構成したビジュアル。山系と湖盆の関係、最深部104mへの降下が一枚の図として現れる。湖面の穏やかさの下に、どれほどの深さがあるかを初めて「見る」ための作品。

DATA地形断面図
MAX DEPTH104m
METHODCross Section
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:透明度

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透 明 度

LIGHT PENETRATION

静けさとは、
光が届かない深さにある。

光がどこまで届くか——透明度(セッキー深度)のデータを水平線の密度に変換した。深くなるにつれて線が密集し、光が届かなくなる様子を視覚化。静けさとは、光が届かない深さにあることを示す。

DATAセッキー深度
METRIC光透過率
METHODLine Density
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:水温層

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水 温 層

THERMAL LAYER

湖が持つ、
見えない階層構造。

湖の水は深さによって温度が異なり、明確な層構造を持つ。表水層・水温躍層・深水層の三層を、線の強弱で表現。二本の太い黒線が境界を示し、湖が持つ見えない階層構造が浮かび上がる。

DATA水温鉛直分布
LAYER3層構造
METHODHorizontal Stripes
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:音速

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音   速

SPEED OF SOUND

音が最も「曲がる」層——
深さ40m、1458m/s。

水中での音速は深さと水温によって変化する。深さ40mで音速は最小値1458m/sに達する——それは音が最も「曲がる」層。静寂の中を音がどのように伝わるかを、曲線の軌跡として記録した。

DATA音速鉛直分布
MIN1458 m/s / 40m
METHODProfile Curve
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:流入河川

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流 入 河 川

RIVER INFLOW

琵琶湖は孤立した水域ではなく、
地域全体の集積点だ。

琵琶湖には118の河川が流れ込む。それぞれの流量と方位を放射状に配置し、湖が周囲の山系から水を集める様子を可視化。琵琶湖はひとつの孤立した水域ではなく、地域全体の集積点であることが見えてくる。

DATA流入河川データ
COUNT主要河川
METHODRadial Network
木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)制作:周波数

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周 波 数

SOUND FREQUENCY

音楽と自然が交差するとき、
最も「耳」に近い作品になる。

99LETTERSとして制作したフィールドレコーディング音源の周波数分析。湖岸で録音した自然音の周波数分布を矩形の連なりとして表現。音楽と自然が交差するこのシリーズの中で、最も「耳」に近い作品。

SOURCE99LETTERS
DATA音響周波数解析
METHODFrequency Bars

INSIGHT — このプロジェクトから得たこと

01

データは感情を持てる

客観的な数値も、解釈と設計次第で感情を持つ。透明度のデータが「静けさ」になる瞬間——翻訳とは解釈の設計だ。

02

静けさには、形がある

言語化できないものでも、データを通じれば形にできる。見えなかったものを見えるようにすること——それが体験翻訳の本質。

03

余白が意味を作る

細線と広大な余白の中にこそ、琵琶湖の静けさが宿る。引き算のデザインは、そこにあるものではなく、そこにないものが語る。

NEXT PROJECT → Ultralight Silence