— Chapter 01 · History
ジーンズの、150年。
ジーンズはもともと、金を掘る男たちの作業着でした。 それが20世紀に映画スターに愛され、反抗の記号になり、 やがて誰もが穿く「世界のユニフォーム」になりました。 本章ではその系譜を、6つの時代で辿ります。
1. 起源 — リベットの発明(1873)
物語は1853年、ドイツ系移民のリーバイ・ストラウスが サンフランシスコに雑貨店を構えたところから始まります。 当時はゴールドラッシュの最盛期。屈強な男たちの作業着は、 すぐに破れる布のズボンばかりでした。
1870年代、仕立て屋のジェイコブ・デイビスが 「ポケットの角に金属のリベットを打てば裂けない」というアイディアを発案。 リーバイ・ストラウスと共同で1873年に特許を取得します。 ——これが、ジーンズのはじまりです。
2. 労働者の服(1900s〜1930s)
20世紀前半、ジーンズはまだ「作業着」でした。 西部のカウボーイ、鉄道員、農夫が日常的に穿くもので、 街では見られない服。501の基本シルエットが完成したのも、この時期です(1901年の5ポケット化、1936年の赤タブ導入)。
| 1901 | 右後ろポケット追加 → 5ポケット仕様に |
|---|---|
| 1905 | 1本ベルトループ、サスペンダーボタン廃止 |
| 1936 | 赤タブ(Red Tab)導入 |
3. ハリウッドと反抗(1950s)
転機は1950年代。マーロン・ブランドが『乱暴者』(1953)で、 ジェームズ・ディーンが『理由なき反抗』(1955)で、 リーバイス501をスクリーンに纏いました。 若者は彼らに憧れ、親世代は眉をひそめた。 ——ジーンズは、反抗のアイコンになりました。
4. カウンターカルチャー(1960s〜1970s)
ベトナム戦争、公民権運動、ヒッピー文化。 60〜70年代のアメリカは荒れていて、 その中心にいた若者たちの共通のユニフォームが、色落ちしたジーンズでした。 このとき初めて、ジーンズは「色落ちを誇るもの」になります。
5. デザイナーの服(1980s〜1990s)
Calvin Klein、Gloria Vanderbilt、Guess—— 80年代はジーンズがデザイナーズ・ブランド化した時代です。 労働着ではなく、値札のついたファッション。 日本ではこの頃、ストーンウォッシュやケミカルウォッシュが流行。
6. 日本のセルヴィッジ(1990s〜現在)
アメリカの大手が生産効率のため旧式シャトル織機を捨てた1980年代、 岡山県児島の職人たちはそれを黙々と使い続けていました。 その結果、今や「本物のセルヴィッジデニム」は日本の専売に近くなっています。
Momotaro、Oni、Pure Blue Japan、Iron Heart—— 彼らが世界のマニアを驚かせているのが、21世紀のデニム史です。