JEAN OF DENIMno.01

— Chapter 04 · Makers

つくり手の、名簿。

世界のデニムメーカーは、大きく3つの系譜に分かれます。 アメリカの御三家、ヨーロッパのモード系、 そして日本のセルヴィッジ勢。 この章では、各ブランドの「出自」「得意技」「代表モデル」を一枚で。

アメリカ御三家

世界のジーンズは、ほぼこの3ブランドを起点に発展してきました。

Levi's(1853)サンフランシスコ。ジーンズの発明者。代表:501 / 505 / 511 / Trucker
Lee(1889)カンザス。鉄道員・農夫の作業着。代表:101 / Storm Rider / Lochi
Wrangler(1947)ノースカロライナ。ロデオ由来。代表:13MWZ / ブロークンツイル
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Wranglerはもともとロデオ選手用のジーンズとして開発されたため、 膝の可動域騎乗時のフィットが最適化されています。 Leeはカウボーイ用ではなく、鉄道員用が起源。

日本のセルヴィッジ勢

いずれも岡山県・児島を中心に、旧式シャトル織機を使う職人ブランドです。 世界のデニムマニアが「本物」を求めて最後にたどり着く場所。

Momotaro Jeans(2006)児島。「世界一の国産デニム」を掲げる。桃太郎の旗がアイコン
Oni Denim(1997)児島。謎多き職人ブランド。縦落ちの美しさで知られる
Pure Blue Japan(1997)児島。インディゴ・織り・加工まで自社完結
Iron Heart(2004)21oz超ヘビーデニムの代名詞。バイカー向け
Studio D'Artisan(1979)大阪。ヴィンテージ復刻ブーム火付け役。5大ジャパンデニムの筆頭
Sugar Cane(1975)サトウキビ繊維を混紡したユニークな生地。東洋エンタープライズ
Kapital(1985)倉敷。デニム×アヴァンギャルド。海外人気が高い
Warehouse(1995)大阪。1940〜50年代のヴィンテージ再現の名門

大阪五虎(オオサカ・ファイブ)

1980〜90年代、ヴィンテージ復刻デニムを牽引した大阪発祥の5ブランド。 海外ではそのまま「Osaka Five」と呼ばれています。

Studio D'Artisan(1979)創始格。ステューディオ・ダ・ルチザン
Denime(1988)ドゥニーム。ヴィンテージ復刻の王道
Evisu(1991)エヴィス。ポケットの手書きカモメが特徴
Full Count(1992)フルカウント。ジンバブエ綿の先駆者
Warehouse(1995)ウエアハウス。1950年代の再現に徹する
JEAN SAYS
「大阪五虎」の呼び名は、実は海外のコレクターが付けた。 日本人が「五虎」と呼び始めたのは、その逆輸入。 ——自国の文化の価値を、外から教わることは、ときどきある。

ヨーロッパ・モード系

A.P.C.(1987)パリ。ミニマルなスリム。New Standard / Petit New Standardが代名詞
Acne Studios(1996)ストックホルム。モード寄りのファッションデニム
Diesel(1978)イタリア・モルヴェーナ。加工デニムの雄
Nudie Jeans(2001)スウェーデン。オーガニックコットン/無償お直し

モード系の多くは、生地自体は日本のカイハラクロキから 輸入しています。つまり——シルエットとブランドはヨーロッパ、生地は日本製、というケースが多い。

生地メーカー(デニムミル)

ブランドの裏側で、実際にデニム生地を織っているのがデニムミル。 ここが本当の「黒幕」です。

Cone Mills(1891-2017)米ノースカロライナ。Levi's 501の長年の生地供給元。2017年閉鎖
カイハラ(1893)広島・福山。世界シェアの一角。Levi's、A.P.C.、Uniqloに供給
クロキ(1950)広島・福山。セルヴィッジも多数織る
Candiani(1938)イタリア。ヨーロッパ最大のデニムミル
Orta Anadolu(1953)トルコ。ヨーロッパ市場の供給源
JEAN SAYS
2017年のCone Mills閉鎖は、デニム史の事件だった。 以後、Levi's Vintage Clothingも日本のカイハラ生地を 部分的に使い始めている。 ——デニムの主役は、静かに移動し続けている。