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Product Development — Case Study / Experience Translation

Ateli.er
中庭のような、静かな音楽空間。

Individual Development — 木下スタジオ / 木下貴博(滋賀・琵琶湖)

— TYPE

音楽プラットフォーム · Ambient

— PLATFORM

Web App + Chrome Extension ×2

— STATUS

Live — 2026〜

ATELI.ER atelistudio.com A yoake channel ambient · lo-fi · 夜明け前 ▶ PLAY 3 tracks · 1.2k plays S studio silence drone · minimalism · 深夜 CONNECT 7 tracks · 890 plays R rain on glass NOW PLAYING — 中庭で再生中 ■ STOP EXPLORE / COURTYARD — Activity Graph @user_k · tape channel Nils Frahm — Says (Piano Version) 2h ago @studio_m · morning ritual Brian Eno — Music For Airports 5h ago COURTYARD — 中庭で流れています 4 channels · 12 listeners now rain on glass 2:34 / 4:18

— Origin / このプロダクトの問い

このプロダクトは
「音楽はなぜ、場所を持てないのか?」
という問いから始まりました。

Spotifyは音楽を"発見させる"プラットフォームだ。しかし「ここにいたい」という感覚が、音楽にはなかった

01 — Problem

音楽は「消費」されていた。
「場所」ではなかった。

現代の音楽ストリーミングサービスは、再生を「次」へと促し続ける。アルゴリズムが新しい曲を提案し、プレイリストが自動で続く。ユーザーは絶えず「発見」と「消費」のサイクルに置かれる。しかしその過程で、「ここにいたい」という感覚は設計されていなかった。

音楽には本来「場所性」がある。カフェのBGM・誰かの部屋で流れる音楽・雨の夜に聴く特定のアルバム——これらは「消費」ではなく「共にいる」体験だ。しかしデジタル上では、その「共にいる感覚」が設計されていなかった。

音楽を「発見する」プラットフォームは多い。
音楽と「共に在る」場所は、どこにもなかった。

— 課題 01

アルゴリズムが「次」を強制する。Spotifyは常に新しい発見を促す。「今の曲とただ一緒にいる」という体験が設計されていない。

— 課題 02

音楽に「場所」がない。プレイリストは曲の集合だが「空間」ではない。誰かの音楽の「場所」に訪れるという概念が存在しなかった。

— 課題 03

音楽制作者の居場所がない。作った音楽をシェアできるが「自分の音楽の場所」を作ることはできない。ストリームではなく、空間として音楽を置きたいというニーズがあった。

— 課題 04

「誰かと聴く」の設計がない。同じ曲を友人と同時に聴けても、誰かの「音楽の場所」に静かに同席するという体験は存在しなかった。

02 — Insight

「中庭」は
誰のものでもない場所だ。

「Atelier(アトリエ)」というコンセプトと、「中庭(Courtyard)」というメタファーは最初から決まっていた。アトリエは創造の場であり、中庭は誰でも通り抜けられる共有の空間だ。誰かのチャンネルが流れ、あなたはその横に静かに座る——それがAteli.erの体験の核だ。

届けたい体験は「音楽と共に在ること」だった。
届いていた体験は「音楽を発見し消費すること」だった。

体験翻訳家として、このズレを設計で揃えることがAteli.erの使命だった。「再生回数を増やす」ではなく「誰かの音楽の横に静かに座る」体験を実装することで、音楽との関係が「消費から共存へ」と変わる。

PERSONA DESIGN — ATELI.ER PERSONA A 知識労働者・作業者 25〜35歳 / 集中作業中にBGM探し GOAL 邪魔にならないBGMが欲しい 集中を途切れさせたくない PAIN Spotifyが急にポップになる プレイリスト選びに時間を取られる KEY EXPERIENCE 「流れていること」に安心したい 誰かの空間に同席する感覚 → 中庭(Courtyard)が核 PERSONA B 音楽好き・深聴き派 20〜30歳 / 発見より共鳴を求める GOAL 自分の音楽世界を持ちたい 趣味が合う人の選曲を聴きたい PAIN アルゴリズムが好みを外す SNSで音楽シェアが重い KEY EXPERIENCE チャンネルという「音楽の場所」 CONNECTで共鳴する感覚 → チャンネル投稿が核 PERSONA C 音楽制作者・クリエイター 20〜40歳 / 自分の音楽を置きたい GOAL 自分の音楽を「場所」として持ちたい 誰かに聴かれているのを感じたい PAIN SoundCloudは雑多すぎる 聴かれているのか分からない KEY EXPERIENCE 活動グラフで積み上がる記録 play_countの静かな積み上がり → Explore / Activity Graph が核 * 木下スタジオ / Kinoshita Studio — Persona Design (Ateli.er)

ペルソナ設計。共通点は「音楽と『共に在りたい』——ただし押し付けられたくない」という欲求。

— Customer Journey

CUSTOMER JOURNEY — ATELI.ER STAGE 作業中 BGM探し Ateli.er発見 チャンネル接続 静かな並走 ACTION 集中したい Spotifyが重い 「中庭」を知る 誰かの音楽に接続 そこにいる感覚 EMOTION 集中したい BGM選びで消耗 これかもと思う 誰かの空間に入る ただ、そこにいる DESIGN OPP. 邪魔しない設計 BGM選び不要に 中庭の概念設計 チャンネル接続UI ambient再生継続 * 木下スタジオ / Kinoshita Studio — Customer Journey Map (Ateli.er)

「BGM選びで消耗する」という落下点を、中庭(Courtyard)への接続でゼロにする設計。

03 — Experience Strategy

「場所としての音楽」を
設計する。

Experience Strategyの核心は、音楽の位置づけを「発見・消費」から「場所・共存」へ再定義することだった。Ambient(環境音楽的な在り方)・Place(場所性)・Silence(静けさの設計)・Connection(共鳴)——4軸がすべての設計判断の基準となった。

— 01

ambient

AMBIENT

音楽はBGMであり、空気だ。主役になるのではなく「そこに在る」。アンビエント的な在り方が、消費ではなく共存を可能にする。

— 02

PLACE

チャンネルは「場所」だ。プレイリストではなく、誰かの音楽空間。訪れる・立ち寄る・CONNECTするという関係性が生まれる。

— 03

COURTYARD

中庭は誰のものでもなく、誰でも入れる場所。他ユーザーのチャンネルに静かに同席するCourtyardが「場所の共有」を実現する核だ。

— 04

共鳴

CONNECTION

CONNECT機能は「共鳴」の設計だ。いいねではなく、チャンネル同士がつながる。音楽の文脈が人と人を静かにつなぐ。

— Brand Experience Framework

BRAND EXPERIENCE FRAMEWORK — ATELI.ER 01 — VISION 「中庭のような、静かな音楽空間」 Experience Translation 消費 → 共存 への再定義 02 — EXPERIENCE AXES Ambient · Place · Courtyard · Connection AMBIENT PLACE COURTYARD CONNECTION ← 4軸が「共に在る」体験に収束 03 — TOUCHPOINTS チャンネル · 中庭 · Clip · 活動グラフ · Player チャンネル投稿 Courtyard Clip拡張 活動グラフ CONNECT Player拡張 04 — DESIGN PRINCIPLES dark · quiet · local-first · no algorithm アルゴリズム不使用 ローカルファースト同期 Ambient再生設計 PWA対応 * 木下スタジオ / Kinoshita Studio — Brand Experience Framework (Ateli.er)

Vision → Experience Axes → Touchpoints → Design の4層構造で「音楽と共に在る場所」を設計した。

04 — Design

「静けさ」を
UIとして実装する。

Experience Strategyで定義した4軸をUIに実装した。最も重要な設計判断は「アルゴリズムを使わない」こと。次の曲を提案せず、人間が選んだチャンネルのみが流れる。ユーザーは「発見」から解放され、「存在」に集中できる。

— Visual Direction

深夜の青・星・静寂

深い青黒(#0a0a14)と金(#a89060)。星のような点と静かなグラデーション。「夜の中庭」の空気を視覚として実装した。昼に開いても、夜の静けさが続く配色。

— Channel Architecture

チャンネルという「音楽の場所」

プレイリストではなく「チャンネル」。BGMのチャンネル・思索のチャンネル・雨の日のチャンネル——文脈を持った音楽空間として設計した。チャンネルは「場所」であり「名刺」でもある。

— Courtyard Design

中庭:他者の音楽に静かに同席する

Courtyardは他ユーザーのパブリックチャンネルをambient再生する場所だ。選曲しない・探さない・ただ接続する。音楽の「場所」に立ち寄る感覚を実装した。

— Local First Sync

「気づかないうちに同期されている」体験

ローカルストレージにまず書き込み、Supabaseと非同期に同期。オフラインでも自分の投稿・チャンネルは保たれる。同期は「気づかないうちに行われている」体験として実装した。

— Chrome Extensions / 生態系の拡張

— Ateli.er Clip

URLを貼るだけで登録

YouTube / SoundCloud のURLを貼り付けるだけで楽曲登録。OGP自動取得・サムネイル表示。「音楽を見つけたその瞬間に、自分のチャンネルへ」という流れを実現した。

— Ateli.er Player

Kindle Fireで「常設の中庭」を

ambient受動再生専用ページ。Kindle Fireなどを常設端末として使い、部屋に「中庭を置く」という体験を可能にした。音楽がインフラになる設計。

— Activity Graph

GitHubスタイルの音楽活動記録

GitHubの草グラフを参考に、投稿履歴を視覚化。自分の音楽活動が「積み上がる」記録として残る。継続の動機を設計に組み込んだ。

05 — Result

「音楽を聴く」から
「音楽の場所にいる」へ。

「届けたい体験」(音楽と共に在ること)と「届いていた体験」(発見と消費)のズレを揃える——体験翻訳のプロセスをプロダクト設計に適用した結果、音楽との関係が根本から変わるプラットフォームが生まれた。

共存COEXISTENCE

音楽を「発見・消費」から「場所・共存」へ再定義。中庭(Courtyard)で誰かの音楽の横に静かに座れる体験を実装した。

LIVE

atelistudio.com 公開中。Chrome Web Store に Ateli.er Clip・Ateli.er Player の2拡張を公開済み。誰でも登録・利用可能。

PROOF

アルゴリズムなし・ローカルファーストで、静かな音楽体験が成立することを実証。「削ぎ落とすことが体験を豊かにする」の証明。

音楽の場所を作ることが、
体験翻訳家としての仕事だった。

— 前のケーススタディ

← Black Mirror Board

— 次のケーススタディ

KODOCO →

— Result / この翻訳により

— 01

音楽との関係が変わった

「次の曲」を探さなくなった。誰かのチャンネルに接続し、そこにいるだけで良くなった。消費から共存へ。

— 02

「場所」という概念が機能した

チャンネルを「場所」として設計したことで、ユーザーは「訪れる」「戻ってくる」という行動を取るようになった。

— 03

体験翻訳の実証が完了した

「音楽を発見させる」から「音楽と共に在る」への翻訳が、実際のプロダクトとして機能することを確認した。

— 思想的背景
Experience Translator
体験翻訳家とは何か。このプロダクトが生まれた思想の根拠。
体験翻訳家の思想を見る →

— Studio

木下スタジオ(Kinoshita Studio)は、滋賀県・琵琶湖を拠点に活動するデザイナー木下貴博のスタジオです。UX/UIデザイン・アートディレクション・個人開発まで、一人で設計から制作・ディレクションを一貫して担当します。
Ateli.er は 音楽体験の翻訳プロダクト です。「音楽を消費する体験」から「音楽と共に在る体験」への翻訳を、Webアプリとして実装しました。滋賀・琵琶湖から、静かな音楽の場所を設計・開発しています。

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