Product Development — Case Study / Experience Translation
Individual Development — 木下スタジオ / 木下貴博(滋賀・琵琶湖)
— Origin / このプロダクトの問い
このプロダクトは
「なぜ子連れ外出の計画は、毎回消耗するのか?」
という問いから始まりました。
情報が少ないのではなく、"今日の文脈"を読んでくれるサービスが、どこにもなかった。
01 — Problem
「今日どこか連れていきたい」——その気持ちはある。しかし子連れ外出情報サイトを開くと、スポット一覧・エリア検索・口コミランキングが広がる。気づけば1時間が経ち、子どもはぐずり始め、親は消耗しきっている。選ぶことで、外出の体験が始まる前に終わっていた。
問題は情報の少なさではない。文脈の欠如だ。天気・子どもの年齢・外出できる時間・今日の体力——これらが揃って初めて「今日の答え」が出る。しかしどのサービスも「情報を出すだけ」で「今日の文脈で絞り込む」設計がされていなかった。
— 課題 01
選択肢が多すぎる。200件のスポット一覧を見せられても選べない。子育て中の親は意思決定リソースが最も枯渇している状態にある。
— 課題 02
「今日の文脈」が欠如している。天気が雨なら屋内に絞る・0歳なら授乳室必須・外出できるのは3時間まで——そういう条件をサービスが先に受け取る設計がなかった。
— 課題 03
「なぜここか」の理由がない。スポットの情報は載っているが、「今日のあなたにとってなぜここが最適か」という文脈込みの説明がない。納得して動けない。
— 課題 04
「行動の入口」まで遠い。検索→一覧→絞り込み→詳細→ルート確認という工程が長く、子連れ外出の「思い立ったらすぐ動ける」機会を失わせる。
02 — Insight
体験翻訳家として、このズレを発見した瞬間が設計の出発点だった。親が求めているのはスポット情報の検索ではない。「今日の文脈を読んで、一つの答えをくれる存在」だ。選択肢を増やすことが価値ではない——選択肢を減らし、「今日はここ1択」を返すことが価値だ。
子どもとの時間は有限だ。週末の午前中、その2〜3時間を「選んでいる時間」に使わせない——それがKODOCOの存在意義だ。「今日どこいく?」という問いに、文脈を読んで1つの答えで返す。それだけでいい。
ペルソナ設計。共通点は「選択肢ではなく答えが欲しい・子どもとの時間を選択消費に使いたくない」。
— Customer Journey
「検索地獄」という最低点を、KODOCOの文脈入力→1択提示で回避する設計。週末体験の全体品質が変わる。
03 — Experience Strategy
Experience Strategyの核心は、「情報提供」から「意思決定の代行」へ転換することだった。Context(今日の文脈を先に受け取る)・One Answer(1つだけ返す)・Time(時間を尊重する)・Family(家族全体のUX)——4軸がすべての設計判断の基準となった。
— 01
CONTEXT
情報を先に出すのではなく、文脈を先に受け取る。天気・年齢・時間・エリア——この4つを入力した瞬間に、答えが決まる。
— 02
ONE ANSWER
選択肢を出さない。「今日はここ」1つだけを返す。選択肢を減らすことが体験設計の核心であり、KODOCO最大の設計判断。
— 03
TIME
子どもとの時間は有限だ。週末の2〜3時間を「選択」に使わせない——時間の尊重が、KODOCOの存在理由そのものだ。
— 04
FAMILY
子どもだけでなく、疲れた親にも寄り添う設計。授乳室・おむつ台・駐車場——子連れ特有の条件を全て先に解決する。
— Brand Experience Framework
Vision → Experience Axes → Touchpoints → Design の4層構造で「意思決定の代行」を設計した。
04 — Design
Experience Strategyで定義した4軸を、UIとして実装した。最も重要な設計判断は「検索結果を出さないこと」。文脈入力が完了した瞬間、KODOCOは1つのスポットと、その理由を返す。選択の余地を与えない——それが体験設計の核心だった。
— Visual Direction
緑 × 白:自然と温かさ
緑(#5a8a60)と白・アイボリーの組み合わせ。自然・公園・外出という文脈に合わせた配色設計。「外に出たくなる」色を選んだ。「こどこ」キャラクターが緑の温かみを人格化する。
— Context Engine
4項目が「今日の答え」を生む
天気・子の年齢・外出可能時間・エリア——4つだけ。この組み合わせがContext Engineに渡り、条件を満たすスポットから最適解を返す。入力の摩擦を最小にすることで「今すぐ使える」を実現した。
— Answer Design
スポット + 「なぜ今日か」
1スポットを提示し、「なぜ今日のあなたにここが最適か」を理由と共に表示。理由があることで「納得して動ける」体験が生まれる。「行ってみる」ボタン1つで完結する設計。
— Character & CGM
こどこ + ユーザー投稿でデータを育てる
「こどこ」キャラクターが案内役として機能し、硬くなりがちなフィルタリングUIを温かくする。スポット投稿機能でユーザーがデータを育てるCGMモデルにより、滋賀中心に地域密度の高いスポット情報が蓄積される。
05 — Result
「届けたい体験」(子どもとの週末の解放感)と「届いていた体験」(選択疲れ・検索地獄)のズレを揃える——体験翻訳のプロセスをKODOCOに適用した結果、子連れ外出の体験が根本から変わるアプリが生まれた。
一択ONE ANSWER
200件の選択肢をゼロにし、1スポットと理由を返す設計。「決断疲れ」をゼロにする体験を実装した。
公LIVE
kodoco.jp 公開中。独自ドメイン取得・DNS・CNAME・OGP・Supabase Auth 全対応。滋賀エリアを起点にスポット情報を蓄積中。
証PROOF
「選択肢を減らすことが体験を豊かにする」という設計思想の実証。Less is more の UI 哲学がプロダクトで機能することを確認した。
— Result / この翻訳により
— 01
外出の入口が変わった
「どこにしようか」という迷いが消え、「じゃあここにしよう」という即決が生まれた。週末の使い方が変わった。
— 02
「減らす」が価値になった
200件の選択肢を1件にする——これは情報の欠落ではなく、文脈設計による最適化だということが実証された。
— 03
体験翻訳の再現性が証明された
「届けたい体験(解放感)と届いている体験(選択疲れ)のズレを揃える」プロセスが、子連れおでかけという文脈でも機能した。
— Studio
木下スタジオ(Kinoshita Studio)は、滋賀県・琵琶湖を拠点に活動するデザイナー木下貴博のスタジオです。UX/UIデザイン・アートディレクション・個人開発まで、一人で設計から制作・ディレクションを一貫して担当します。
KODOCO は 子連れ外出体験の翻訳プロダクト です。「選択疲れ」から「解放感」への翻訳を、滋賀・琵琶湖を起点としたWebアプリとして実装しました。子どもとの時間を、選択地獄に使わせないために。