最初に触れたパソコンの手触りを、見る人の中でもう一度動かす。旧ポートフォリオサイトを作り直すとき、あえて時計を巻き戻した。Framer の上で、サイト全体を Windows 95 風のUIとして設計した。ウィンドウ、ダイアログ、告知バナー——あの頃の画面を、もう一度立ち上げる。
この研究を一言でいうと──同じ古いUIが、見る人の記憶しだいで懐かしさにも新鮮さにもなると確かめた実験。
出発点:なぜ古いUIをわざわざ選んだか
ポートフォリオは普通、最新の体裁で作る。ここでは、見る人の記憶を動かす方に賭けた。Windows 95 のUIは、多くの人にとって「最初に触れたパソコン」の手触りそのものだ。タイトルバー、グレーのボタン、影付きのウィンドウ枠——それらは装飾である以上に、操作の作法ごと記憶に刻まれている。その記憶を呼び起こすこと自体を、体験の中心に据えた。
設計:ウィンドウ・ダイアログ・告知バナー
Framer 上では、作品ひとつひとつを「開けるウィンドウ」として配置した。クリックするとダイアログが立ち上がり、画面の上には告知バナーが流れる。これらは1990年代に確立された古典的なUIパターンだが、それを現代のブラウザの上で、なめらかなアニメーションとともに動かした。古い文法を、新しい身体で語り直す。
観察:懐かしさが「新鮮さ」に転じる
差が出たのは、見た人の反応だ。当時を知る世代は「懐かしい」と言った。だが、Windows 95 を知らない若い世代は、まったく違う言葉を返してきた。彼らにとってこの画面は過去ではなく、見たことのない新しい様式だったのだ。同じUIが、受け手の記憶の有無によって正反対の感情を生む。
同じ画面が、ある人には「懐かしさ」を、別の人には「新鮮さ」を返す。
——UIの意味は、見る人の側にある。
結論:インターフェースの文脈依存性
インターフェースの意味は文脈に依存する。デザインそのものは固定されていても、それがどう受け取られるかは、見る人がどんな時代を生きてきたかで変わる。「良いUI」を普遍的な正解として語るより、誰のどんな記憶に接続するのかを問う。そのほうが設計として正確だ。Framer はその問いを手早く形にするのに、ちょうどいい道具だった。
あなたが最初に触れたパソコンの画面は、どんな色でしたか。