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インターフェースの体験 — Product Design

「大阪」を持ち歩くデバイスを設計する

2025.08 Interface

街そのものを、手のひらに収めたかった。OSAKA は、Figma で設計したポータブルデバイスのプロトタイプだ。ゲームボーイのような懐かしいフォルムに、カメラ・スピーカー・D-pad を組み合わせ、都市の体験を記録し、再生するための道具として構想した。

出発点:街を持ち歩くという発想

スマートフォンは何でもできる。けれど何でもできるがゆえに、「街を体験する」という行為が他のすべてに埋もれてしまう。私が欲しかったのは、もっと限定された道具だ。都市を歩き、記録し、あとで再生する——その一つの行為に専念できるデバイス。名前を OSAKA としたのは、特定の都市の手触りごと持ち歩くイメージから始まったからだ。

設計:ゲームボーイ的フォルムの選択

あえてゲームボーイ的なフォルムを選んだのには理由がある。あの形は、多くの人にとって「遊びながら覚えた操作」の記憶と結びついている。説明書を読まなくても、握ればどう持つか分かる。そこに現代的なカメラとスピーカー、そして D-pad を載せた。撮る・聴く・選ぶという都市体験の動作を、親指一本で完結させたかった。物理ボタンの確かな押し心地は、画面を見ずに操作できる体験の土台になる。

木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)体験研究:OSAKA — ポータブルデバイスのプロトタイプ
— OSAKA / Portable Device Prototype

記録と再生:都市体験の道具として

OSAKA の核心は、都市での出来事を記録し、あとで再生するという循環にある。歩いて見つけた風景、ふと耳に入った音——それらを一台の中に溜めていき、別の日に呼び戻す。情報を「検索する」のではなく、体験を「思い出す」ための道具だ。だからカメラもスピーカーも、高性能であることより、記憶を呼び起こす質感の方を優先して構想した。

スマホは街を「処理」する。
このデバイスには、街を「思い出す」役割を持たせたかった。

学び:物理とデジタルの統合点

このプロトタイプを通して探っていたのは、物理的な操作感とデジタル体験をどこで統合するかという問いだった。すべてを画面に吸い込ませるのではなく、握る・押す・回すといった身体の動作を残すことで、デジタルな記録がより「自分のもの」になる感覚が立ち上がる。Figma 上の検討にとどまる構想ではあるが、画面の外にある操作の手触りこそが、これからの体験設計の鍵になると感じている。

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