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音の体験 — Gagaku Techno

雅楽とテクノの間にある体験

2026.01 Sound

雅楽とテクノ。一見、千年以上の時間と地球半周ぶんの距離で隔てられたふたつの音楽に、私はずっと同じものを感じていた。どちらも反復の上に成り立ち、どちらも「間」を恐れない。99LETTERS という名義で、私はそのふたつを翻訳し合うように一枚の音楽へと織り上げてきた。

出発点:遠いふたつに、同じ呼吸を感じた

雅楽を聴いていて気づくのは、それが旋律を聴かせる音楽というより、持続と反復で空間そのものを満たす音楽だということだ。テクノもまた、四つ打ちの反復によって時間を引き延ばし、聴く者をトランスへ連れていく。私はこの二つを対立物ではなく、同じ問いに別の言語で答えた音楽として並べたかった。

木下スタジオ(木下貴博 / 滋賀)体験研究:Gagaku Techno — 99LETTERS による雅楽とテクノの融合
— Gagaku Techno / 99LETTERS

設計の核心:構造を、翻訳の軸にする

融合させるとき、私は音色を真似ることをしなかった。代わりに構造を翻訳の軸に据えた。雅楽の重なり合う層を電子音のレイヤーへ、笙の途切れない持続音をドローンへ、そして何より「間(ま)」を、リズムの欠如として置き換えた。鳴っていない時間こそが音楽を支えている——その感覚をテクノの文法に移すことが、このプロジェクトの核だった。

空間をレイヤーへ。持続音をドローンへ。間を、リズムの欠如へ。
——翻訳されるのは音色ではなく、構造だ。

手応え:海の向こうで鳴る

この試みは、Phantom Limb や Disciples といった国際的なレーベルからのリリースという形で外へ出ていった。NTS Radio での放送を通じて、ロンドン、マンチェスター、ローマ、マルセイユといった街で耳を傾けてくれる人がいる。日本のいちばん古い音楽の構造が、現代の電子音楽として海の向こうで鳴っている——その事実に、翻訳という営みの可能性を感じた。

学び:体験を翻訳するという仕事

Gagaku Techno は音楽制作であると同時に、私にとっては「体験翻訳」という考え方そのものの実験でもあった。あるものの本質を別の媒体へ移し替えるとき、表面をなぞるのではなく構造を掴む。音楽で学んだこの態度は、そのままデザインの仕事にも通じている。間を生かすこと、反復に意味を持たせること——それは画面の設計でも変わらない。

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