Top / 体験研究 / 天ぷら
視覚の体験 — Concept Graphic

形が意味を持つとき——天ぷらと幾何学の接点

2025.11 Visual

天ぷらは、どれも同じ揚げ色なのに、衣の中身はまるで違う。この「表層は同じで、内部の構造が違う」という性質を、円と矩形の組み合わせだけで翻訳した。背景色やタイポグラフィとの関係で意味がどう変わるかを、4パターンで検証したコンセプトグラフィック。

この研究を一言でいうと──円と矩形だけで天ぷらを描き、意味は形と形のあいだに宿ると確かめた実験。

出発点:なぜ「天ぷら」を幾何学に置き換えるのか

天ぷらは、衣の中に素材が隠れている料理だ。見た目はどれも似た揚げ色なのに、中身はえび、なす、かぼちゃと、まるで違う。表層は同じでも、内部の構造が違う——この構造を、写真でもイラストでもなく、最小限の幾何学の形で表す。問いは、具象を捨てたときに何が残り、何が伝わるか。

翻訳:円と矩形で、食材の構造を書き直す

使ったのは、円と矩形という最も基本的な二つの形だけ。丸みは素材の柔らかさや断面を、矩形は衣の縁取りや皿の構造を担う。えびの反り、なすの縦の線、かき揚げの集合——それぞれを円と矩形の比率と配置に翻訳していく。具体的な「天ぷらの絵」を描かないことで、構造そのものが立ち上がる。

形は、それ単体では意味を持たない。
——置かれた文脈の中で、はじめて何かを語り出す。

検証:背景色とタイポで、意味は4通りに揺れる

同じ円と矩形の組み合わせでも、背景色とタイポグラフィを変えると、受け取られる意味がまるで変わる。暖色の地に置けば食欲や温度を連想させ、無彩色の地に置けば工業的な記号に見える。書体を細くすれば静けさが、太くすれば主張が乗る。この「揺れ」を4パターンで並べて検証し、形と文脈の関係を観察した。

天ぷらを円と矩形で翻訳したコンセプトグラフィック
— Tenpura / Geometric Concept Graphic Study

結論:意味は、形ではなく関係に宿る

4パターンを並べると、意味は形そのものより、形と背景・文字・余白との「関係」に宿ることがはっきりする。同じ円が、ある文脈では食材になり、別の文脈ではただの点になる。デザインは形を作る仕事だと思われがちだが、設計しているのは形と形のあいだの関係である。

あなたの身近な料理を円と矩形だけで描くとしたら、どこを丸にしますか。

— 他の研究を読む
← 体験研究の一覧へ 全ての設計事例を見る →