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文字の体験 — Cut-out Type

切り貼りの文字は在庫が各1枚

2026.10 Type / Paper

使える素材は、自分で刷った文字の一覧が1枚と、白い画用紙だけ。この制約で作品を組む。字を切り抜いて貼る。始める前に、まず在庫を数える。

この研究を一言でいうと──135字・各1枚きりの在庫から、組める言葉を数えて探す記録。

エンドリケリーの7字を明朝体で升に並べ、2つ目のリだけを空けた図。下に埋め方4通り
— エンドリケリー、リが一枚たりない(図)

手元の在庫

ほとんど何も組めない

組みたいもの結果
99LETTERS組めない。9・E・T が2枚ずつ要る
HONYAKU ENSOU組めない。O・N・U が2枚
BIWAKO SILENCE組めない。I・E が2枚
Translate the unspoken.組めない。T・E・N が3枚
あめんぼあかいなあいうえお組めない。あが3枚、ぼが無い

自分の屋号すら組めない。これがこの紙の正体である。

数えるのは機械でやる。目では数え落とす。濁音と半濁音は、素の字と ゛゜ に分けてから数える。「ド」を1字として数えると、濁点の在庫切れを見落とす。

いろは歌 ── 二字たりない

最初の候補は、いろは歌。

いろは歌を7字7行の升に明朝体で置いた図。ゐとゑの升だけが空いている
— いろは歌を 7字×7行 に置いた図(不採用)

ゐゑは足さずに、欠けたまま出す。2升だけ紙の白が残る、その2升を切り抜いて穴にする、トンボだけ残す。見せ方の候補も3つ出した。

それでも外した。日本風すぎる。いろは歌は素材まで和になる。噛み合いが良くても、素材の出どころが自分の芯と食い違うなら外す。不採用の記録として残しておく。

エンドリケリー ── リが一枚たりない

代わりに選んだのは、古代魚エンドリケリー(Polypterus endlicheri)の名前だった。

表記結果
エンドリケリー「リ」が2枚要るが1枚。足りないのはこれだけ。ド=ト+゛は足りている
エンドリケリ同じく「リ」が2枚
エンドリそのまま組める(4字)
ポリプテルス「゜」が2枚要る
ENDLICHERIE・I が2枚ずつ
POLYPTERUS ENDLICHERIP・L・R・I が2枚、E が3枚

足りないのは、たった1字。

埋め方は4通り

①がいちばん強い。同じ音を2つの文字で書く。並べると、ほとんど気づかない。外来の魚の名前を、ひらがなが1字だけ支えている。

組みの寸法

組み方大きさ
7字×1行127.4 × 18.2mm。シートの「13cm 枠に横7字」にそのまま入る
4字×2行72.8 × 36.4mm
2字×4行36.4 × 72.8mm。縦組み
1字×7行18.2 × 127.4mm。細い縦の帯。魚の細長い体に合う

切った跡も画面のうち

写真の時点で「い」「イ」「ナ」がもう切り抜かれていて、紙に穴が空いている。その穴は隠さずに使う。この1枚から取ったことが、絵に残る。

外に出すときの権利

他人の歌詞を切り貼りして作品として発表すると、権利の問題が出る。いろは歌は平安期の作で、著作権は無い。古代魚の一般名も同じ。ただ、同じ言葉が人やグループの名前と重なるときは、外に出す前に確かめる。

あなたの名前は、この135字で組めますか。

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