「今週、どこ行こう?」毎週末、親はこの同じ問いの前で立ち止まる。その一言に応えるために、滋賀のパパママのためのアプリ kodoco を開発している。地図も子育て情報も世の中にあふれている。足りていないのは情報の量ではない。今日の自分の状況に応えてくれる相手だ。ここが出発点である。
この研究を一言でいうと──天気と機嫌と時間を聞いて「今日のあなたなら、ここ」と返す、応答する子育てアプリ。
出発点:地図は場所を教えてくれるが、文脈には応えない
Google マップも、自治体の子育て情報サイトも、確かに「場所」は提供してくれる。けれど親が本当に知りたいのは、施設の一覧ではない。「今日の自分たちにとって、どこが正解か」だ。既存のサービスは情報を並べることはできても、目の前の親の「今日の文脈」には応答できていない。そこに大きな空白があった。
観察:同じ親でも、今日の条件で答えは変わる
0歳の赤ちゃんを抱えた雨の火曜日と、晴れた土曜日の3歳児とでは、必要な情報がまるで違う。前者なら屋内で授乳室がある近場、後者なら思いきり走り回れる公園。場所のデータは同じでも、文脈が変われば最適解は反転する。この当たり前の事実を、既存のサービスはほとんど無視していた。
親が探していたのは、「行ける場所」より
「今日の私たちに合った場所」だった。
設計:体験の翻訳ギャップを埋める
kodoco が起点に置いたのは、この「体験の翻訳ギャップ」——届けたい支援と、親が実際に受け取る体験のズレ——を埋めることだった。天気・子どもの機嫌・外出できる時間という「今日の状況」を入力すると、その文脈に最も合うスポットが提案される。情報を検索させる代わりに、状況を語ってもらい、こちらが翻訳して返す。設計の重心を、検索から応答へ移した。
検証:UXの核心は、正確さではなく応答性
このプロジェクトで検証したい仮説ははっきりしている。子育て支援アプリのUXを決めるのは、情報の網羅性や正確さよりも、文脈への応答性だ、ということ。どれだけ正確なデータベースより、「今日のあなたなら、ここ」と一言返してくれる方が、親にとっては価値がある。その仮説を、実装を通して滋賀の現場で確かめている。
あなたの家の「今日」は、どんな天気で、子どもはどんな機嫌ですか。